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広島家庭裁判所 昭和44年(少ロ)152号 決定

抗告人 三宅俊司 外二名

決  定

(抗告人・抗告代理人氏名略)

右抗告人三名申立にかかる当庁昭和四四年少口第一五一号第一五二号第一五三号観護令状に対する準抗告の申立事件について当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件申立はいずれも却下する。

理由

本件抗告申立の趣旨並びに理由は別紙準抗告申立書(略)記載のとおりである。

勾留に代る措置(少年法四三条一項、一七条一項)は、事件が家庭裁判所に係属する以前の捜査段階において捜査のための少年の身柄の拘束を主たる目的とするものであつて、刑事訴訟法六〇条の勾留の要件を具備する場合に限つてなされるべきものである。

ところで、勾留に代る措置のとられた事件が家庭裁判所に送致されたときは、同法一七条五項により、右の措置は、同条一項二号の観護措置とみなされ、その後は、審判を行なうための調査・鑑別を目的とする身柄の保全となり、勾留に代る措置とはその性格を一変するに至る。従つて、勾留に代る措置のとられた事件が家庭裁判所に送致されたときは、勾留に代る措置はすでに終了しその措置の当否の判断を求めるための不服申立はその対象を欠き申立の利益を失うものと解するのを相当とする。

これを本件申立についてみるのに、当庁裁判官渡辺宏が昭和四十四年十一月十二日勾留に代る措置として抗告人等を少年鑑別所に送致する旨の決定をしたところ、抗告人ら代理人において同月十八日右決定に対する準抗告の申立をしたが、翌十九日申立人らの事件はいずれも当庁に送致され、それぞれ昭和四四年少第一四八五号(川副正弘)同第一四八六号(三宅俊司)同第一四八七号(香川守)建造物侵入事件として係属するに至つたことは、当裁判所に明らかなところである。

従つて、本件申立は、前記の説示のとおり、申立の利益を欠くものであるから、いずれも却下を免れない。

よつて、主文のとおり決定する。

別紙略

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